ペットとともに暮らしたい、というご要望が増えてきました。実際、ともに暮らしてみると、動物も人生の伴侶。引越しにも連れてゆきたいものですし、新しく飼ってみたいという方も多いようです。

分譲マンションでは新築の多くは制限付きながらもペット飼育可のところが多いですが、賃貸ではまだ少ないのが現状。そういう状況ですから、空室を埋めたい、という下心から(笑)、既存賃貸物件でのペット可切り替えを試みました。

とはいえ、いままで飼育禁止できたマンションです。いきなりある日飼育OKにする物件もあるようですが、今まで住んでくださった方を無視するというのは、あんまりだと思い、切り替え前にアンケートを行いました。

飼育規約案を提示し、飼育解禁に「賛成」「反対」「どちらでもよい」の三択と、自由記入欄。および、飼育者と非飼育者の賃貸条件の違いをつけるべきかどうか、という内容です。

アンケートの結果、切り替えを行った物件も、見送った物件もあるわけですが......。

最終的な「賛成」「反対」の数にこそ違いがあったものの、既入居者の意見は、どちらの物件もほぼひとつに集約されてしまいました。

曰く、「飼育規約をきちんと守れるのならばよい」

「賛成」「反対」の分かれ目は、「この物件で、果たして飼育規約が守られるか否か」というあたりにあるようです。

「守られないだろう」と予想されると「反対」となり、「大体は大丈夫」と予想されると「賛成」あるいは「どちらでもない」になる。

「反対」多数で飼育解禁を見送ったマンションは、切り替えたマンションに対してこういう特徴がありました。

☆ゴミ置き場の分別・清掃状態に不満が多い。
(自治体の分別項目が多いため、分別不備が起こりやすかった)
☆目と鼻の先にペット可物件があったが、その物件の管理状態や飼育者マナーが悪い

こういうことから、ペット可になると物件の状態が悪くなる、と危惧する人が多かったのです。

「飼育規約を守れるならいいけど、きちんと守らせられるとは思えない」というご意見で「反対」という回答が多かったのです。

ここから、ペット解禁をスムーズに進めるための道も見えます。

すなわち、

☆物件の管理状態はいつも良好に! 互いに顔の見える物件が望ましい。
☆近隣のペット飼育状態や飼育マナーが、そのまま解禁後のイメージになる。
地域全体で良い飼育状況を!

......自分ちだけで完結できないのが辛いところです。

(2008年11月14日) 「大家さん読本」コラムに初出。

私がこの仕事に関わるようになってから、管理会社の変更がいくつかの物件でありました。とはいっても、嫁に来てまもなく、舅が健在のころでしたから、意志決定には関与していません。その中で見聞きした印象深い一つの失敗談をお話ししたいと思います。

そもそもその管理会社――G社に管理をお願いしたのは、その前に管理していたL社が空室の増加にも関わらず、特に有効な手が打てなかったことでした。L社は地域では昔からの不動産屋さんで、メインは売買。賃貸はサブでしたから、無理からぬことだったのかもしれません。

G社は2~3年前に開業した新興の、しかし地域では初の賃貸専門の業者さん。賃貸のプロとしての強い客付けと、スケールメリットを生かしたリフォーム手配で、改装費用も安くすむ、苦情処理から定期清掃までまかせてくださいというのが売りでした。当然専任媒介契約もセットです。

L社は専任媒介と集金管理のみ、苦情処理はしてくれてましたが、清掃はこちらでしていました。たまに世間話をL社でしていますと、入居者からの苦情やオーナーからの注文の電話が鳴ります。電話に出たあと、こちらの席に戻ったL社は、「はいはい、言うて、ほっときますねん」と、にっこり。正直に言うてくれはるのはいいけれど、うちもオーナーなんですけれど......。

そんなL社に比べて、いたれりつくせりに見えたG社。管理料は増えましたが、それも当然と思えました。客づけも確かによく、3割あった空室が1割に。

が、まもなく疑問や不満がいろいろ出てきます。

「客づけのために改装を」で、安いと聞いていた改装費が高い。「定期清掃はまかせてください」で、清掃状態が悪い。

改装費は元は知り合いの業者にやってもらっていたのが安い料金で、後にして思えば、管理会社経由であればG社の値段は「安くはないがまぁ普通」です。けれども「安くなる」と聞かされていたのが高くなったのには驚いたようです。

清掃は今まで舅と近所の小母さんがかなりこまめにしていました。ですからG社提案の週2回のゴミ置き場清掃と月2回の共用部清掃では逆に汚れてしまったのです。

「月2回ですが、徹底してやります」とは言ってたそうですが、実際にはとおりいっぺんだったわけです。(自分も掃除に行こうか、いや、まかせたからには手を出すワケには......)と舅がつぶやいていたのを覚えています。

そして空き室解消に、全戸のキッチン交換と浴槽交換を提案されました。「高い」とぼやきながらも、G社の協力業者からの見積書の値段を確認して発注。

ところがこちらが「追いだき」と思ってお願いしたものが、実は「高温差し湯」であったことが施工後にわかります。これはこちらも悪く、見積書には確かに「高温差し湯」になっていたのを、打合せ段階では「追いだき」だったのでよく読まず見落としたのです。

この他にもさまざまなことから不信感がつのりますと、それを感じるG社も客づけ意欲をなくし、――ありていに言えば客づけを全くしなくなり、半分近くの部屋が空いてしまいました。

最終的には管理契約を解約し、自主管理に変えたわけですが、「専任媒介とセットの管理・仲介業者に対する不信感」は長くうちの賃貸経営に爪痕を残すことになります。

当時のいろいろなことを振り返りますと、この失敗の原因は、従来の状態をきちんと評価せずに、その場の営業トークだけで物事を進めたこと。そして疑問が不満にかわり、さらに不信に変わるまで、それを解決するためのコミュニケーションを持たなかったこと。つまるところ、両者のコミュニケーションの欠落にあります。

確かに表面的な打合せはしていたのですが、「まかせたからには」と遠慮する舅と「私についてきて下さい!」のやり手のG社社長。本質的な面で話がかみ合わなかったようではあります。

どんな管理会社にお願いしても、思ったことと違うことは必ず出てくると思いますが、疑問が不満や不信に変わる前に、きちんと担当者とコミュニケーションがとれなければ、不幸な結果になるのだと思います。


(2008年10月10日) 「大家さん読本」コラムに初出。

管理会社はわれわれ家主の業務を代行してくれる、心強いパートナーです。うちは現在、基本的に自己管理をしていますが、かつて親世代が管理会社を替えたり、自己管理に切り替えたりするのを見てきました。

管理会社の仕事はいろいろありますが、やはり一番期待するのは募集業務です。うちの地域では、管理契約と事実上の専属専任契約がセットになっていますし、募集に強い管理会社にまかせたい。これが本音です。

よく、空き室対策で仲介業者さんを選ぶときに、店長クラスと懇意になるといい、と言われます。これは管理に関しても全く一緒。募集業務に期待しての管理契約ですから、どうしてもそうなってきます。

さらに管理の場合、集金管理や物件の日常メンテナンス、クレーム対応という業務が加わりますので、空き室対策以上に、懇意に物の言える関係が大事になってきます。

とくに、メンテナンスの仕方と客層の設定は密接に関わりあいますので、よいパートナーシップを築くには、自分と担当者の馬が合うことはとても大事だと思います。自分の思っていることをきちんと伝える、というのは想像以上に難しいもので、不満の多くはコミュニケーションギャップから生まれます。うまくコミュニケーションのとれる間柄、というのが管理会社との間では一番大事です。

ここで、ある程度立場のある人――店長クラスと馬が合うとよい、というのは現場への反映が早く確実であるからです。

さらに下心(笑)を付け加えると、不動産業界は従業員の流動が激しいですから、担当が変わるたびに一からやりなおし、という事態を避けるため。

肝心の彼が転職する、ということも時々あることですが、ある程度立場のある人であれば、社内での引き継ぎも比較的しっかりしてもらえますし、転職先によっては、別の形でお世話になることもあるでしょう。


次回、うちで遭遇した具体的な事例を挙げていきたいと思います。

(2008年09月05日) 「大家さん読本」コラムに初出。

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