建設予定地の、既存建物の軒と軒の間の犬走り。
これが2項道路だなんて......。

驚いて自分でも市役所で見せてもらいますと、確かに2項道路を示す赤い線が引かれています。

(ここでもセットバックか......)

ショックを受けていたのですが、そこへ設計士さんから、連絡がありました。

「やはり大丈夫でした!」

2項道路の指定は県がしています。そこで県庁で確認すると、道路そのものには「2項道路」の赤線が引かれているのですが、

「幅員1.8m以下の部分を除く」

という、但し書がついているのだそうです。

「手続きなし、というわけにはいきませんが、届を出せばいいそうです」

そういって出された紙には、『2項道路の廃止に準ずる』云々と書いてありました。但し書ついてるから2項道路じゃないけど、2項道路の赤線は引いてあるから廃止に準ずる手続きがいるとかで。
ああややこしい!

そして2項道路を廃止するには、その道路を使用している――すなわち道路に面している人全員の同意が必要なのですが、今回は町会長のみでよいそうです。

ほっと胸をなでおろしたのもつかの間。
この町会長さんのハンコがクセモノでした......。

「みんなこの道を通って、駅のほうへ行ってるんや」
「あんたンとこの土地やさかい、借家建てはること自体にどうこう言えんけど、住民の道は尊重してもらわないと」
「自転車は通れないと困る」

うちの私有地だということは、町会長もよくわかってはるのですが

「何十年も通ってきた道がなくなるのは、みなそう簡単に納得せーへん」

と、いうことだそうで。

何十年も、たって、それは単なる好意で! 権利ができるとかそんなわけでは!

「うん、だからこれは『お願い』なんやけどな」

「でも、ココ通れないとハンコくれはらへんのですよね。。。。」

「うん」

うっかり言い合いをしそうになるのを察したのか、設計士さんが

「なんとかよい案を考えますので!」

と、間に入りました。

設計士さん、本当にうまくやりました。

建物と駐車場の配置を調節し、以前のように一直線とはいきませんが、わずかな曲がりで自転車も通り抜けられるようにしたのです。

これなら、と町会長も納得。

「わしもな、黙って判を押す、というわけにはいかんのよ。ちゃんと地元のことを考えた、ということをわかってもらわんと、みな納得せーへんやろ」

と言いながらハンコを下さいました。
で、でもそのセリフを初めに言ってくれはったら、こっちも感情的にならないのに!

と、いうような経過で、なんとか道路づけの問題は解決し、無事にアパートが建ちました。町会長さんには今でもイロイロお世話になってます(^^)

借家証書

大阪府○○郡○○町○○番地
一 木造何葺何建家屋 壱軒

右貴殿所有建物今般拙者に於て賃借致候。依て左記条項固く相守可申。若し違背仕候節は貴殿に於て随意御処分相成候共異議なく之に応ずべし

第壱条 貸借期間
但右期間内と雖も、拙者に止むを得ざる事由を生じたるとき、又は行政処分其他公の指令に依り右家屋の改造又は取払いを要する場合生じたるとき、及び家主に於て已むを得ざる事由のために右家屋の改造又は取払いを要する場合生じたるときは解除をなすことを得。其旨御通告を受けたるときを以て本件賃貸借は終了したるものとす。

第二条
家賃は壱ヶ月金何円也として毎月持参支払うものとす。

第三条
家主に課せらる公租公課の増加及び其他の場合により貴殿より家賃の増額請求を受けたるときは異議なく之を承諾す。

第四条
家屋の構造の変更其他造作物等の修繕改造等は貴殿の承諾なくして一切の変更造作をなさざるものとす。若し拙者において勝手に造作をなしたるときは何時にても拙者の負担を以て貴殿の指示により原状に回復するものとす。

第五条
拙者は貴殿の承諾なくして本件賃借権を他人に譲渡し、又は右建物を他人に転貸し、他人を同居せしめ、若しくは他人をして代住せしめざるものとす。

第六条
拙者に於て第二条の家賃の支払を毎月怠りたるときは、貴殿に於て直ちに契約を解除せらるるも異議を述べざること。

第七条
拙者に於て第三条の請求を承諾せず、第四条の同意を得ずして造作をなし、第五条の承諾を得ずして同条の行為をなしたる場合に、貴殿より直ちに契約を解除せらるるも異議を述べざること。

第八条
契約期間の満了、若しくは契約の解除により、賃貸借が終了したるときは、拙者は直ちに貴殿に家屋を明渡すものとす。
前項の場合に於ては、必ず貴殿の立会を求め、造作附物等の点検を受くるものとす。

第九条
右家屋が火災其他の天災により、大破又は滅失したるときは、拙者貴殿に対し異議なく速かに他に転宅することを確約す。

第十条
保証人は連帯して賃貸人に対し本契約の義務履行をなすことを確約す。

為後日家屋賃貸借契約証如件

昭和○○年○○月○○日

大阪府○○郡○○町○○番地  何某 印
大阪府○○郡○○町○○番地  引受人 何某 印


昭和4年の借家証書ひな形。大阪のものです。
差し入れ形式の契約書で、一部に候文も残っていますが、だいぶ現行の契約内容に近づいてきました。

退去立会を定めていることに注目です。

大阪の契約ですが、敷金・敷引きともに規定条項が見当たりません。
ただ、1901年大阪法令館のひな形では別途「敷金預かり証」がありますので、敷金授受の習慣はあったようです。敷引はないような感じ。

うちに実際にこのひな形を使用した契約書がありますが、賃料は20円でした。広さがわからないので、ぴんときませんが。

roadmap.gif

「これが建設予定地の道路付けの概略図です」

「従来の玄関が面しているのが、絵の下側の4m私道。これはうちも含め、このあたりの地主さんgが昔から土地を出し合っています。
『2項道路』に指定されていますから、道路が廃止されることはほぼ考えられません」

「『2項道路』?」

「従来からある『道』を『建築基準法上の道路』として指定してあるんです。このうち幅が4m以下のものを『42条2項道路』といいます。
これは私道でも『建築基準法上の道路』として扱われます。具体的には、建物を建てるときに道路の中心線から2m下がらなければいけません。
また所有者であっても、その道路によって、接道義務を満たしている、第三者の建築物の敷地がある場合は、廃止できません」

「うちの場合は裏に道がありますけど、大丈夫なんですか?」

「裏の道は『里道』です。こちらからもセットバックすることになると思いますが、幅が90センチしかなく、消防車なども入れませんから、この里道への接道を理由に、前の2項道路が廃止されることは考えにくいんです」

「それよりも問題は......」

と、うちの敷地内にある、軒と軒との間の通路が指されました。

「まだ市の図面しか見ていない段階で、確かなことは県に問い合わせないといけないのですが......この通路に『2項道路』のラインが引かれているのです」

「えっ。......と、いうことはこの通路からのセットバックしないといけないんですか!?」

それでは道路に面積を取られて、建物の建て方がかなり限定されてしまいます。
なんたること!

それにしても設計士さんは私ほどあせってないように見えますが......。


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