マンション駐車場で当て逃げ

| コメント(0) | トラックバック(0)

「駐車場で当て逃げされたんですけど」

入居者から電話がかってきました。

「いつも木の横に停めてる車が、同じような位置に傷があるんで、大家さんから言ってもらえませんかね?」

お互い自己紹介でもしない限り、とまってる車の種類は知っていても、どこのだれが――いや、マンションの駐車場ですから、何号室の誰が使ってる、ということはみんな知らないわけです。
で、家主のところにかかってくる、と。


電話を受けて、頭にひらめくものがありました。

「あのぅ、その木の横に停めてる車って、白のムーヴじゃないですかね?」

「そうそう、そうです!」

やっぱり、とため息がでました。

「警察へのお届けはしはりました?」

「もちろんしました。被害届けも出しましたし、アレが当てたのでは、って話もしたんですけど、駐車場内だから警察は手を出せないって言うんですよ! 大家さんか管理に言ってくれって」

出ました、お家芸の「民事不介入」。
器物損壊での捜査はしないぞ、と言外に言ってるわけです。
それにしても「大家さんか管理に」とはよけいなことを言ってくれたものです。

通常、駐車場の契約は、貸主は「場内の事故については関知しないし、責任をとらない」ということになってます。

この白のムーヴ、実は契約車両ではありません。
無断駐車車両の多くは一時駐車なので、注意書きをワイパーに挟むだけです。
この白のムーヴは常習犯なので、最近はガムテープで貼るようにしました。
それでも即座にはがされるので、「こんどはいよいよ全面糊貼かな」と話してたとこだったんです。

それだけしょっちゅう停まってるので、ナンバーも控え、陸運局で所有者の調査もしました。
割り出した所有者にお手紙を出し、駐車料の請求も行う。
ところが帰ってきた返事は......

「あのムーヴは知人に売ったんです」
「名義をなかなか替えてくれないんで、あいつのやった駐車違反の反則金なんかも僕のところに......(泣)」

「でもご名義があなたですからねぇ」

とこちらも言うものの、実質かれの手を離れている以上、金銭的にはともかく、無断駐車の改善には、これは苦労しそうだ、とため息をつきました。

「あの、ご売却先、お伺いすることってできます?」

「......(とまどい)......」

「合ってるか、合ってないかだけでいいんでお答えいただけたら嬉しいんですけど、ひょっとしてウエダチホさんじゃないですかね?」

「そう、そうです!!」

ああ、やっぱりです......。うちの問題入居者です......。
借主である親はごくごく普通なのですが、この娘さん、一度独立するも事情があったらしく親元に戻り、時を同じくして荒れだしたのです......。
人の駐車枠に停める、夜中に空ぶかしをする......etc。
目撃情報から注意をしても

「証拠あんのかよ」

で開き直る......。
証拠、と言われると、車両は他人名義、目撃者もそうそう待ち構えて写真撮ったりしませんし、少々の写真では警察も何もしようとしない「民事不介入」。
かといって、貸主に迷惑行為をやめさせる強制力はありません。
こんな状態ですから、当然その白のムーヴもボコボコ。周りに迷惑をまきちらしながら満身創痍で走行している状態です。

今回の当て逃げも、被害者の言うことがおそらく正しいのでしょう。
傷だらけのムーヴですが、警察がその気になれば被害車両に付着した塗料を調べるとかできるはずです。でもしない。
こちらも「アヤシイ」と思っていても、証拠なしに頭から疑った物言いをすることはできません。

翌日、ウエダさんに電話をかけました。件の娘さんのお母さんが電話に出ます。
「昨日駐車場で当て逃げがありましてね......」

「はい......」

うすうすわかっているのでしょう。お母さんの細い声が応答します。体力的にももう娘さんの方が両親より強い。力づくで言うことを聞かせられるような関係ではありません。

「けっこうな当たり方だったみたいで、被害者の方は警察に被害届を出して相談されてるみたいです。ウエダさんのお車の横の車両が被害車両なんですが、ウエダさんのお車に被害はありませんでしたか? あるようでしたら、ウエダさんも警察にお届をお願いしたいのですが......」

ウエダさん宅は駐車場の契約をしていません。
ただ、あのムーヴを娘さんが使用していることは、証拠がないとはいえ、半ば公然のことです。
この言い方で、お母さんはこちらの言いたいことは、十二分にわかってくれたようです。
ただ、やはり誰もその現場を見ていないことに変わりはない。
警察にその気がない以上、誰も何もできません。自衛手段を取るしかないのです。

「防犯カメラ......、もっと性能いいのがいるのかな」

一応、現場駐車場にはカメラがあります。けれどナンバーまでは読みとることはできません。また、当たったと思われる現場は写っていましたが、加害車両は敷地外へそのまま出ていき、よく似た大きさの車両であることはわかるものの、「あのムーヴ」かどうかの特定は難しそうです。
お金さえかければ、いい防犯カメラもつけられるでしょうが......こちらにもそれほどゆとりはありません。
よしんばナンバーが読めても、夜間に運転者の顔がわかるかとなると......。

契約上、家主の責任はないとはいえ、ため息ばかりがでる案件です。


後日談。

上の事件から数年。
ウエダさんの娘さんに彼氏ができたようだ、という噂を耳にはさみました。
そういえば、駐車場からあのムーヴの姿が消えています。

代わりに別の車両の無断駐車が同じ木の下に。
ある日ふと、思い立って、ある日キツイ文言の貼紙をやめ、封書をワイパーにはさみました。

「当マンションへのお客様でしたら、事前に管理までご連絡ください。空き枠があればご案内します」

はたして電話がなりました。ウエダさん、しかも娘さんからです^^
「今晩友人が来るんですけど......」

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.o-yasan.jp/mt/mt-tb.cgi/842

コメントする

管理人

ヨメに来たら賃貸住宅のお世話がくっついてきた! 大家の立場で賃貸裏話を発信中!

Photo

  • 2011 04 30_0016.JPG
  • xy3qi.jpg
  • 80tqm.jpg
  • 67806296.jpg
  • ua1wv.jpg
  • driwf.jpg
  • 2010 10 10_9697.jpg
  • _S8O0642.jpg
  • 2010 10 10_9694.jpg
  • _S8O0096.jpg

このブログ記事について

このページは、が2010年7月 7日 10:46に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「分譲リノベーションって」です。

次のブログ記事は「マンション駐車場で当て逃げ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。