生活保護と住居と貧困

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今週のダイヤモンド 特集「貧困」の中に。
生活保護者に住居を提供するNPOの話が出てきました。
美談ではありません。

家賃が扶助額上限に合わせて設定され、その割に1人あたりのスペースは3畳程度、食事はでる(ごく簡単な味噌汁とかカップめんとか)。
そして支給される生活保護は家賃・食事代・管理費などをNPOに払うと、手取りは3万円、という記事でした。告発調の記事ですね。

3万円で自立ができるか?
地域性が大きいのでコメントは避けますが、記事中の記載通りの住居であるなら、NPOの取り分は大きすぎるようには思います。


自分の商売上腹立たしいのは、このNPO施設への入居を保護係が勧めた点にあります。
なぜ一般賃貸を紹介しない?
家賃に限っていえば、同じ家賃(住宅扶助上限)で遥かに優良な住宅になるケースが多いはず。そして低所得者向け物件では、「生活保護受給者はむしろ歓迎」な物件も多いのです家賃分の収入は保証されていますから。
特定の事業者の利便を図るのはまずい、でも福祉系のNPOなら紹介できる、というのはなにかおかしい。
ボランティアでない事業者でも普通にビジネスとして役にたてるケースは多く、むしろそのほうが互いに健全であると思います。
それがまた利権を生むんだ、と言われれば一言もありませんが、福祉系のNPOだって利権になるんだから、言いだしたらきりがない。どちらかといえば建前だけでも開かれている方が自浄が期待できるのではないでしょうか。


ただ、住所不定で住民票どこにあるのかもわからない。身元の証明ができない。
これは一般賃貸での受け入れは難しいのが正直なところです。
不動産屋たちのココだけの話に関連する話がありますのでお読みください。
しかし、それこそ行政が職権でできれば、かなりの手間が軽減されるはず。
この部分がクリアできれば、地場の不動産屋と家主のタッグでかなりの住宅が提供できるのです。


去年暮れのエントリーで書いた就職安定資金融資ですが、一部大手業者はキャンペーンをはって定期借家での受け入れをうたっています
われわれ一般家主の場合も、この制度を利用しての契約となると、定期借家という選択になると思います。
しかしこの雇用情勢からいくと、全員が6ヶ月後の就職を達成できるかは心許なく、万一の場合には追い出しにかからざるを得ないことを考えると、「応援キャンペーン」などと軽々しくうたう気にはなれないのです。しかもこの制度、給付ではなくて貸付ですから、借金になっちゃうわけで。
個別に相談があったときには、できる範囲で協力したいとは思いますが。
全部外注してて機械的に追い出していける仕組みが確立してればキャンペーンできるかもしれません。確立したいとはあまり思いませんが……。
「応援したい」も「滞納者出てけ」も本音ですが、それはそれこれはこれ、と割り切って両方の対応を自分で直接差配するのはかなりストレスです。


最近多くの大手検索サイトで「初期費用の目安」が表示されるようになりました。初期費用を減らしたい、という需要に応え、借り手市場の賃貸市場で契約を勝ち取るために、敷礼ゼロ物件も増えています。
消費者保護団体が望んでいる、賃貸費用の家賃一本化は大義名分よりも市場の要求によって実現しようとしているかに見えます。

しかし、使用の対価を家賃に収斂させるのは私の感覚にはそぐわないわけで。
そのあたりの話はまたも遅れている今月の本家サイト更新記事ででもしようかと思います。


上記記事のNPOや居住系の貧困ビジネスについては、追記欄参照。

以下、「南山大学社会倫理研究所 2006年度第5回懇話会 ■講師 湯浅誠先生■」より抜粋



私に相談した人が言ったことで忘れられないのは、47歳の人が20年間の自分を振り返って、自分が仕事を選んできたときの最優先条件は寮と食事がついていることだと言ったんです。彼は時給や日給が幾らとか、正規雇用か非正規雇用かなんかどうでもよかった。住む所がない、食事がないわけだから、まず寮と食事がついている所こそ彼にとって必要な職場だった。そういうところで基本的な労働基準法が守られるわけがない。とにかく、そういうことです。ところが、金融や労働だけではないのでそういうのを幾つか紹介したいと思います。全部は話しきれないので、居住の話をします。

これは、フリーター向けの飯場と私は言っていますが、レストボックスという所です。要するに、定まった住所を持たないフリーターに安く泊まれますよと呼びかけている宿泊所です。これは3年か4年前にできて、あっという間にこれだけ広がりました。山手線全線ほぼ東京都内にあります。これは今後全国化していくと、私はみています。

漫画喫茶に泊まったことがある人がいるかもしれませんが、いないかな、夜間パックで9時間1500円とかと安いんですが、シートが完全にフラットにならない。私も終電をのがして何度か寝ましたが、ちょっと寝た気がしないんです。最近の漫画喫茶は進化していますから、シャワーもついているし、中で軽食も食べられる。要するに、そういう住む人を当て込んでいるつくりになってきているんですが、それでも十分ではない。そういうところに、レストボックスは二段ベッドで10人部屋だけど1泊1500円で泊まれますよ、泊まる場所のないあなたには朗報ですよということで打ち出した。

ここは仕事も紹介します。もともとは建設現場の雑務を提供している会社がバックについてつくった事業です。住みかと職場が一体になったこのシステムは、建設労働現場では古くから飯場システムと言われて、日雇いの人たちの不安定な状態を象徴する言葉でした。それと同じシステムをフリーターに朗報だといってやっている。これはマスコミもかなり好意的に取り上げています。ちなみに、この社長は自分自身が2年間車中生活をやっていたホームレス経験のある人です。前橋さんという人ですが、今度自伝を出しました。『ぼく、路上系社長—ホームレスからでも立ち直れるから大丈夫!』というタイトルです。私も一度会ったことがありますが、髪の毛がさらさらでサーファーを目指していたという人です。これは典型的な貧困ビジネスですが、そうは受け止められないんです。

これはさっきちらっと話したレオパレス21の話です。レオパレス21に入る人は賃貸借契約ではありません。あれは普通のアパートやマンションではなくて、レオパレスの会員契約です。どういうことかというと、レオパレスがあなたと結んでいるのは賃貸者契約ではないので、借地借家法には縛られませんというわけです。だから、1カ月でも滞納したら追い出しますと、ちゃんと会員規定に書いてある。

なぜそのようになるかというと、いまは投資マンションバブル、ちょっと落ちついたといわれていますが、80年代のバブルのときの地上げと違うのは、土地を転がすことによって利益を得るわけではない。上物を建てて、そのマンションに人が入って、この賃料を利回りとして不動産投資の対象になっているわけです。それであれだけREITとかお金を集められるんです。つまり、入居率が命です。

これはレオパレスの事業報告書ですが、「賃貸あってのアパート経営」と書いてあります。そういう考えです。どういうことか。いままでのように礼金、敷金で高いハードルを設けて確実な人しか入れないのでは入居率が確保できない。だから、敷居を下げる。礼金、敷金、保証人不要だといって、貧困者でもアクセスできるようなシステムにするわけです。しかし、そうなれば当然滞納リスクは上がる。だから、一方でいかに追い出しやすくするかということを考えなければいけない。それで、ああいう契約にするわけです。

保証人ビジネスも同じです。いま連帯保証人になるという家賃保証をするビジネスがたくさん出てきましたが、あれが一番訴えているのはオーナーや投資家です。つまり、我々がついていれば本人が出るまで責任を持って保証しますというわけです。フォーシーズという会社があって、不動産業界では「滞納保証事業で健全成長!! 回収業務に独自のノウハウ」といってベンチャービジネスとして取り上げられている会社です。フォーシーズが立て替えていた金額は、平成18年で12億円を超えました。12億円を超える立て替えをやってなぜこの会社はもつのか。それ以上の収入があるからです。なぜそれ以上の収入があるのか。賃借人が滞納すると彼らは3日以内に立て替え払いをします。そうして、その立て替え払いした金に年40.004%の利息をつけて本人に請求します。しかも彼らは保証の代行だといいながら、実は入居する人の親とかに保証人をつけさせます。そして、そこにも40.004%をつける。つまり、サラ金業者なんです。回収業務に独自のノウハウ、要するに取り立てがうまいということです。こういうビジネスが業界的には非常に注目されて、いまどんどん増えているわけです。

これは野宿者を対象にする貧困ビジネスです。宿泊所というのはいま全国で1万2000人の規模があります。その最大手がNPO法人エスエスエスというNPO法人です。このNPO法人は、都内を中心に約130カ所5000人の定員の施設を持っています。彼らはどうやって事業規模を拡大していったかというと、これはちょっとわかりにくいのですが、ホームレスの人の宿泊所というのは社会福祉法に基づいています。ところが、これは何の規制もありません。明治時代にお金を持っている篤志家が自宅を開放して貧民救済をした。それをちょっと裏づけるための規定なんです。それがそのままいままで使われてきているので、何の縛りもありません。彼らが頭が良かったのは、ここに目をつけたことです。

路上から人を連れてきて、6畳の部屋に3人とか4人入れる。そして、生活保護を取らせて、最高額の住宅扶助を請求するわけです。東京でいえば、生活保護の住宅扶助の上限は23区内で1人当たり5万3700円です。5万3700円というと一般のアパートも、風呂付きは借りられないけど、まあ借りられる。でも、それぐらいが精いっぱいです。でも、このシステムにすれば、ホームレスを連れてきて4人入れればその6畳一間の部屋から20万円の上がりが出るんです。こんないいビジネスはない。それで、彼らはどんどん路上から連れていって、どんどん儲けて、次のビルをどんどん競売で落としていって、あっという間に5000人規模の施設をつくってしまった。こういうのも貧困ビジネスだと思っています。ちなみに、愛知県は届け出ているのは1件しかありませんが、名古屋市には470人程度の規模の宿泊所があります。9割方はエスエスエスみたいな所だと思って間違いありません。

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このページは、が2009年3月19日 16:11に書いたブログ記事です。

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