うちと賃貸借関係にある方々で、生活保護を受給している人が何人かいる。
受給している状態で引っ越してきた人のもいれば、あとから受給を申請した人もいる。
ぶっちゃけ、滞納者から相談を受けて、
「市役所行って保護係に相談しといで」
と勧めたこともある。
「自殺を考えているんです」
とまで借主に言われちゃぁ、
「ちょっと待て。その前に!」
とこっちも言うわな。
よく介護の現場で、ケアマネとケースワーカーの連携の重要性が語られたりしているが、今の世の中、家主もケアマネやケースワーカーとの連携は大いにはかりたいところ。
なぜかというに、これからは高齢単身者が増える。
家主という商売は、お住まいの方にとっては債権者=お金をとりたてる立場なんだけれども、うちと客層がかぶる消費者金融とと異なるのは、借り主の生活の安定がこちらの収入に直結すること。
消費者金融はある程度お客さんに浮き沈みがあったほうが商売になるが、こちらはそうはいかない。
物件内で孤独死されては大変だし、諸般の支払の中でも家賃というのは後回しにされがちだ。
だって、
少々滞納しても追い出されない
めったに遅延利息は請求されない
月一回しか請求されない
払わなくても当座困らない
んだもの。
だから生活が安定してもらわないと困るんである。
借主が困ると家主も困る。
こと、この点については、敵対的な関係では決してない。
ケアマネは健康上の、
ケースワーカーは経済上の
対象者が自立をすることが最終的な目標なので、家主と利害が一致する。
だからそういう場合には、機会があればケアマネやケースワーカーと接触をはかるようにしている。
が、これがけっこう難しい。
ケースワーカーというのは役所の生活保護係のこと。
ここでまず、借家と生活保護の関係をお話しておくと、生活保護が決定すると、住宅扶助と言って、家賃・共益費・更新料・引っ越し代(敷金などの入居一時金も含む)が支給される。
滞納分や借金の返済分は当然のことながら支給されないので、借り主は生活扶助の中からやりくりしてそれらを支払うことになる。
生活保護での入居審査を心配される向きもあるが、住宅扶助というものがある関係上、ある意味支払は堅い。
住宅扶助額も受給者の家族構成などで上限が決まっているから、ハイソな物件に入れるなんてことはないが、まぁ相応の物件には入れる。
とはいえ、自立しようとすると逆に生活が不安定になったり、借金に追われてる場合があったり、健康上の問題を抱えている場合があったり、と、それなりのリスクもあるので、入居を敬遠する家主がいるのもまた事実。
そういうわけで、仲介業者さんからは大概、
「福祉の方なんですけど、いいですかね?」
という確認がある。
うちの返答は、
「入居申込書みて判断します」
である。
そして、条件の交渉が入ることも多い。
「住宅扶助の基準に合わせた条件にならないか」
という交渉である。
たとえば共益費込¥65,000の物件が、そのままではNGでも、家賃と共益費を分解するとOKになったりするからだ。
当然、契約時に添付する収入証明は、生活保護の受給証明になる。
さて、繰り返しになるが、入居すると月々の家賃・共益費は住宅扶助で支給される。
逆に言えば、これを生活に使い込んではいけないので、ケースワーカーは必ず、きちんと家賃を支払うように指導する。
家主の立場からすると、ケースワーカーに賃料管理の一翼をしてもらっているようなもんである。
これはありがたい。
さらに、自立に向けての指導もしてくれる。その前提として生活状況の把握もしはるのでーー言い方は悪いが、利用させて貰わない手はない。
何せ賃借人の生活の安定はこちらにとっても利益なのだ。
督促や回収のために連携しようとするのではなく、生活を安定させるためだということを、自分の頭にしかと言い聞かせて(下手に話すと誤解されやすい)保護係と接触をする。
賃借人が生活保護を受けていることがわかっていれば、
「○○さんの係の方をお願いします」
と言えばすっと出てきてくれることも多い。
もちろんいかにもお役所的に
「誰が受給してるとかは言えません」
なんて、木で鼻をくくったような返事のこともある。
いや、こちらは本人から受給証明もらってるってば(苦笑)。
ただ、これも当然のことながら、先方から情報もらえるという期待はしない。探り程度はいれるけれども、どちらかと言えば、こちらが情報を提供する方である。
状況を把握すれば、それを前提に生活の自立をはかっていくのが、彼らの仕事なんだからーー。
そこでここは一歩進んでみる。
ケアマネの世界では、ケースワーカーとの連携の大切さはすでにすでに言われているところで、本にもなっている。(「ケアマネ業務のための生活保護Q&A」)
家主もこの輪の中に入っていけないだろうか。われわれ家主の仕事は「住」という暮らしを支える仕事だ。
実際、高齢者の独り暮らしに際しては、安否確認などで、介護関係の方と連携を取るケースを経験している。
昨今の風潮、どうしても家主は、借主と対立する立場であり、債権者--取り立てる側のみが強調されるが、ケアマネやケースワーカーなどの本人を支える輪の中に入ることによって、
「大家といえば親も同然」
と言われた古い時代の面倒見を今の時代に合うように蘇らせることはできるんじゃないかと考えてみる。
そしてそれは、家主のとってもいいことなんじゃないか、と。
![]() | ケアマネ業務のための生活保護Q&A 六波羅 詩朗 by G-Tools |


コメントする