大家さんの本人訴訟

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昨今、訴えられるケースが目立つわれわれ家主ですが、時には訴えることもあります。

家主が誰かを訴える! というのは大概、借主の方に
「出てけ!」
と叫ぶ場合です。

借主から訴えられる場合は、少額訴訟が多いのですが、「出てけ!」と叫ぶ場合は、「明渡訴訟」となるので必然的に地裁で通常訴訟、となります。

この明渡訴訟。弁護士さんにお願いすると、けっこうかかるんですよね……。
ファミリーの明渡だと執行費用だけで数十万かかりますから、弁護士報酬も入れると、100万近くかかることもあります。
よく、迷惑行為で
「加害者を追い出して!」
と被害者の方から言われることがありますが、勝ちにくい喧嘩にこれだけの費用、と思うと二の足を踏むのもおわかりいただけるでしょう。

賃料滞納の場合は、負ける要素がありませんので、家主にとっては本人訴訟が一番しやすい裁判になります。弁護士費用の節約&お勉強でございます。
執行費用はたいして変わりませんが、訴訟費用そのものは数万円ですみます。
弁護士お願いする場合の半額で済む、と思っていただければよいかと思います。

ただ、次の場合はやはり弁護士を頼んだ方がよいでしょう。

☆ 自分に時間がない場合
   訴状の作成・提出、書記官とのやりとり等、けっこう手間がかかります。
☆ 相手(保証人含む)から弁護士費用分ぐらいは取り立てられそうな場合
   相手がサラリーマンでなければ、取り立てはさらに面倒です。
   給与の差押ぐらいまでなら自分でのなんとかなりますが。。。。。
   中小企業勤めの場合、差押が入ると退職勧奨されることも多いです。
☆ 相手が手強い属性のとき
   ありていに言えば、暴力団関係者であるとか。
   あるいは警官、士業の場合は、やりにくいです。相手の方が物慣れてそうな場合は弁護士にまかせるのが吉。

訴訟する、と決まればまず、第1の作業は証拠固め。
この作業は弁護士さんにお願いする場合でも共通です。もちろん弁護士さんもしてくれますが、自分でやるとちょっと節約。

1.これまでの滞納履歴と未納賃料の内訳を整理。
2.契約書を確認。
3.内容証明で最後の催告。「何月何日までに払わないと、何月何日をもって契約解除
4.内容証明で契約解除通知&明渡催告。「何月何日に契約解除しました。何月何にまでに明け渡しなさい」

内容証明を受け取らない困ったさんがときどきいますので、念のため直接ポストに投函しておくとよいでしょう。

次に訴状を作成します。具体例はまた改めて「事件帖」で紹介しますが、一定の書式に従って上の1~4の内容を書くだけです。
書いた訴状には、1~4を証拠書類(甲号証といいます)として添えます。
他に添付書類として、建物登記簿謄本と固定資産税評価証明が必要です。

訴額の計算はめんどくさいので、私は提出時に事務官に計算してもらいます(笑)。
訴状提出時に貼る印紙の額がこれで決まります。あと、相手方に書類を郵送するための切手も併せて納めます。
できた訴状に割り印を押して3部提出すると、受付印とともに「事件番号」がつきます。
今後裁判所とのやりとりにはすべてこの「事件番号」を言って担当官と話をすることになります。
あきらかな不備があれば、受付時に事務官から指摘があります。すぐに訂正できるよう印鑑をもってゆくといいでしょう。

受け付けられた訴状は、事務官から事件担当の書記官に回ります。
ここでもう一度書記官が訴状をチェックし、場合によっては訂正を要求されることがあります。
多くの場合は、滞納分の計算の仕方の疑問であったり(特に変動費部分)、書き方の言い回しがすこしおかしかったり、単なる計算ミスであったりです。
この段階で訂正が出てきた場合は、新たに「訂正申立書」を出すことになります。

さて、ここまでが済みましたら、「弁論期日」の決定があります。
法廷に呼び出される日が決まるわけですが、要は書記官と互いの都合を打ち合わせ、それで決まった日を指定した「期日呼び出し状」が作られます。裁判所には「期日請書」
http://www.nichibenren.or.jp/ja/legal_aid/format/doc-07.html
を提出します。

いちいち裁判所に出向く時間がなければ、FAXと原本郵送で対応してくれることもありますので相談してみましょう。

相手方には訴状と期日呼出状が、郵送されます。「特別送達」という特殊な書留
相手が受け取ってくれますと、訴訟が進行してゆきます。
受け取らない困ったさんがここでもたまにいるわけですが、この時にどんなペースで進行するかは書記官の裁量が少々影響します。

再送達を所定の回数してダメなら公示送達になるのですが、「手を尽くしても行方不明」であることが条件です。
どの程度の調査で「手を尽くした」になるのかの部分です。
「居るけど受け取らない」というのが、実は一番時間をくったりします。

さていよいよ法廷。
口頭弁論が行われますが、借家の滞納明渡で、相手が出席してくることは稀です。
出てきても、負けることはないので気にすることはありません。
「譲ってやれ」みたいな雰囲気がでてくれば、「今度滞納したら明渡執行」の和解をすればOKです(どうせそういう方はまた滞納するので、一旦和解してほんのわずかでも支払ってもらったほうがいいかもしれません)。
相手が出てこなければそのまま決審し、
「被告は出て行きなさい!」
という判決がもらえます。

次回、執行のお話。

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コメント(2)

 期待しています。

 私は、滞納している相手が内容証明の催告書に驚いて?勝手に弁護士に飛び込んだので已むを得ず先輩の弁護士に頼みました。結局相手は着手金も払えず、のこのこ本人が出てきました。ご推察の通り多額のお金がかかり、最後は和解です。ほんとに民事の実効性なんてありませんよ。民事は貧乏人と無法者の勝ちと実感しました。
 今後は“自力救済”に徹しようと弁護士にも言いました。『訴えられたらその時はよろしく!』って。違法は承知していますが、通帳から家財道具一式を人質にとって『訴えるならどうぞ、弁護士頼んで受けて立ちます。何年かかることやら。』って方が結局は早くて安いです。
 それよりまずは“安全保障”! まじめな借主様には申し訳ないと思いつつ保証会社の保証を条件にしています。

> 「譲ってやれ」みたいな雰囲気がでてくれば

 本当にこれが一番嫌でしたね。一体裁判官って人種は弁護士費用がいくらかかっているか知らないんですかね。頭にきますよ。弁護士も一緒になって、和解、和解って、こっちは若くないんです!

ほんと!加藤さんの仰る通り。貧乏人はただそれだけで優遇されてるわ。裁判官の偏見?差別?家主イコール金持ちイコール悪人なの?はっきり言って奴らに毟られどおしなんですけどっ!(怒)

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このブログ記事について

このページは、が2008年3月16日 23:30に書いたブログ記事です。

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