法は遡及する

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一応、新しくできた法律というものは、それ以前の契約には適用されないことになっている。

敷金問題の場合、消費者契約法成立以前か以後かで明暗が分かれるケースもある。

でも、「遡及されない」のが原則なんて考えには、あまりとりつかれない方がいい。(実際に係争になれば一応主張はするけどね)
特に借地契約は長期契約なので、ことさらだ。


なんでこんなことを言い出したかというと、賃借人さんがしばらく——数年間借地料を滞納した。
(数年、というと長く聞こえるが、年払契約なので1年2年滞納したからって、簡単に解約できないのである)
それをきっかけに、

「借地借家法ベースの契約にさせてほしい」

とこちらから申し入れた。
先方は渋った。それは従前どおり旧借地法ベースの方が、借地人には有利だからだ。曰く、

「遡及しないはずですよね?」


確かに、そういうことにはなってる。でもそれを言い出すと、この借地契約、借地法成立以前の契約なのである。
借地法の成立以前も以後も、契約書の巻き直しはしてないので、今でも形式上は契約当時の「借地証書」が生きていることになってしまう。
すなわち、貸主からの即時解約もOKだし、借主は原状回復として、田んぼに戻さないといけない。
100年近く前の借地証書どおりの履行を求められるか?
そんなこたないのである。
その間に政体が変わったとか言うのはこの際無し。さすがに
江戸時代のお白州が適用されるなんてことはないが、戦前政府の判例は今も使われている。主権は天皇から国民に移ったが、政府は存続してるのかな? とか疑問点は多々あるけど、踏み込むとさらに収拾がつかなくなる。


聞けば先方も、まだまだずっと契約を続けたいという。
借地契約の「当分」というのは、1世代は確実に使うということである。
1世代というと、おおざっぱに30年。さらに言えば、借地契約は50年が原則。それだけ後の時代に、今の常識や契約がどの程度通じるか?


結局長期の契約というのは、当初契約や契約期間中の経緯を考慮しながら、都度合意を形成していくほかないのである。 


なんていうごたくを、素人ながらにもんもんと考えていたらば、ウィキペディアの信義則の説明にあっさりと書かれてありました(笑)。

「事情変更の法則
 社会的事情に変化があれば契約の内容はそれに応じて変更されなければならない。」

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コメント(2)

しぎのさんには現実問題なので恐縮ですが、旧契約がどこまで有効かは、これは興味深い問題ですね。相互信義の中で、改めて借地借家法での合意というのは十分意可能なのだと思います。  その説明の中で、旧法がありならばその時点では借地人が不利な条項も非常に多い点は、相手は理解するべきですし、それを説明するのは全く問題ないと思います。少し辛いのは、しぎのさんご自身が説明できるのですが、感情の問題として第3者が説明した方が納得して貰えるのでしょうね。

古い古い借地——契約書のないような借地契約は、とりあえず旧借地法で判断されるのが慣例化しています。なぜか借地法成立以前のものでもそうです。判例は読んでないのですが。ウチあたりの借地契約には「更新」や「権利金」という概念がないので、なにかない限り、こういった見直しはしないんです。今回、滞納があったので(苦笑)。一応相手には専門家がついたので、説明してくれると思います。

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このブログ記事について

このページは、が2007年6月18日 22:15に書いたブログ記事です。

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