玉造上本町の辺は、昔の栄え地を替えて、淋しげなる町並み、表借屋3分の筵わり、今の世間にかくまで安き所に空き家多く、裏借し家のはやること、懐日記のほか也。鉢坊主・放下仕・油屋のふせがい・門々ぬぐる行人など、確かそうなる家請手形に借主として、4畳半に3-4人あい住い、もとより妻子も無く、道具とては土鍋・杓子1本、箸3膳、皿や茶碗に盛り喰いにして、朝出づれば晩の戻りの請合われぬ衆なれば、家賃その日払いひときめ、1人前に銭2文宛て、路地口に家主床机として、外出しなに受取り、
「3人分6文今日の相済」
と、帳面付けたて見れば、1ヶ月に384文、今の銭相場に直して、3匁6分7厘8毛の余の筵にあたりぬ。一人して借れば4畳半1匁2分5厘の裏棚を、この高家賃の方ぞ多かり。
「3人分6文今日の相済」
と、帳面付けたて見れば、1ヶ月に384文、今の銭相場に直して、3匁6分7厘8毛の余の筵にあたりぬ。一人して借れば4畳半1匁2分5厘の裏棚を、この高家賃の方ぞ多かり。
大坂です。
町が寂れて、表通りは空き家ばかり。賃料の安い裏長屋ばかりがはやりますが、そこはその日暮らしの流れ者・単身者がシェア。そこで大家は入り口でがんばり、借家人が外出するところをつかまえてその日の家賃一人ナンボを徴収。ひとりで一戸借りるのに比べて、約3倍の高い家賃をしっかりとっております。
伊藤 鄭爾 / 東京大学出版会
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110P注3より引用、読み下し。


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