最高裁判決

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やっとPCの調子が戻ってきたので、気をとりなおして。
12/17にも触れた最高裁判決の感想。
(某掲示板にレスで書き込んだものを編集)

最高裁の判決ですが、朝日新聞で判決を知り、最高裁のHPで判決文を一読した私の印象は、
http://heyasagase.jugem.cc/?eid=315#sequel
↑とほぼ同じ。特に目新しい論旨には感じなかったです。
高裁まで公社側が勝ってたときは「さすが公社。きちんと説明してんだなー」と思ってたんですが、最高裁判決を読んで「なんだ。やっぱパンフ渡してしまいだったか」と。
(念のため判決文→http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/$DefaultView/321CD560C6CC179C492570D90026393D?OpenDocument)

産経新聞の記事は見出しにびっくりした次第。
「敷き引き特約そのものを無効とした」という誤解はけっこう生まれているようです。
(まったくもう。敷き引き事例じゃない事件に「敷き引き無効」なんて見出しをつけないでほしいよ。記事自体の内容は間違ったこと書いてないけど)

敷き引きに関しては、一言でいえない複雑さを持っている。
「渾然一体」という性質(判例)は、私も過去にさんざん引用してきましたが、最近、考えがちと変わってきました。

敷き引きも礼金も、法律上に規定のない、慣習から生まれた費用である点においては同じ。法律上の性質もはっきりしない。

礼金も権利金に相当するもの、と後から解釈が付されてるけれど、借家権は家賃を払っていれば当然発生するものやから、ある意味これも二重取り。
それに権利金で借家権を「購入」したのであれば、借家権の取引も是認されてしかるべきだが、礼金物件でも通常は借主の交代を認めていません。
それでも、礼金は不当請求であるなどという主張は見たことがないです。……相場変動はあるけれど。
よく見る説明。「もともとは貸してくれたお礼」。
……わかりやすいけど、法的性質にはなっとらんわな。「対価」でなく「お礼」だもの。この説明は礼金が「慣習」である一つの証左と思う。

結局、著名な慣習であるか否かが、「敷き引き」と「礼金」両者の行く末を分ける気がしてならないです。(あえて「礼金」も「慣習」と書きます)

と、いうのは、「敷き引き」は契約にいたるかなり前の、物件情報誌の段階で、「礼金」とまったく同様に広告されているから。
そして敷き引き金が「返還されない金銭」であることは、「礼金」の説明があるのと同様に説明されているのが普通。
多額の出費の発生はここではっきり認識できると思う。契約書の段階までわからない、なんてことはありません。
額の大きさから考えて、「預託金」か「返ってこない金銭」かわからないまま支払いを行うことは、一般の常識から考えると、普通はありえないことと思う。(「賃貸」ではありえるんだ、という意見の方もあるようですが……)

すなわち、法的性質の解釈まではともかく、「預託金か否か」という根本的な問題についての合意の形成については、今回判決の公社の負担区分に代表される各種特約とは一線を画すと思うのですよ。

ごく短期間の解約については、「敷き引き金を全て領収することは合理的でない」との判決が過去にありましたが、ロジックとしては「礼金」にもほとんど同じことを言うことが可能です。でもやはり「礼金」にそんなことをいう人は聞いたことがない。

法律論に少し距離を置き、経営上から考えると、
税務・会計上、敷き引き金は契約時に売り上げ処理。敷金のように債務計上はしない。
(過去には退去時の計上だったようだが、契約内容・実質から、契約時の計上が合理的であると税務当局が、判断したんでしょう。このような指導の発生時期がいつなのかまでは知らない)。
そして、

「月々入る家賃収入を借入金の返済と長期修繕の積立に」
「1契約ごとに入る敷き引き金を、入退去時の諸費用に」

というのは、「事業計画」として非常にわかりやすくできとります。

結局「渾然一体の性質」の中に、「礼金」のほか「自然損耗の修繕」「ある一定までの故意過失の修繕」「前家賃的性質」を含めるのは、単なる事業計画であったものを、おそらくは借主に負担せしめるために、必死になって法的解釈を後付したもののように思えてならないんですな。

最近は低額化が進んでいますが、15年ほど前までは、阪神地区の敷金・敷引き金は非常に高額でした。敷金10ヶ月相当、敷き引き6ヶ月相当が目安だったようです(伝聞形なのは当時はまだ子どもだったから)。
このころには額から判断するに、いわゆる「渾然一体の性質」というのは正しい判断だったと思います。ただ、事業計画と法的性質を分けて考えないまま、貸主側はここまできたのではないかと。

しかし、相場変動により「礼0物件」が増え、それなりに認知されているようになっている

礼金がかつての権利金的意味を失いつつあると同様、

敷き引き金も額の低額化にともない、その性質を変えてきつつあると思います。

法的性質がはっきりしない、ローカルルールである、ついでに性質も変わってきてる。
敷き引きの危うさです。

ただ、「納得できない」と争う人が出てきつつある反面、圧倒的多数は互いにトラブルなく「敷き引き」契約を互いに守っていることも一応付記しておきます。(「預託金でない」という点について誤認は非常に少ない、という意)

もっとも、敷き引きに限らず、法的解釈・法的性質などというものは必然的に後付になるものです。法的性質が定められていないから不当だ、などという意見もたまに見ますが、私はこれにはまったく賛同できません。

ありゃ。結局なにが言いたいんだか……。
ようするに単なる感想なのですが……。

しかし。
規制したいなら、さっさと法規制してください。
そしたらちゃんと家賃に乗せても、借りる人が納得してくれはるから。

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このページは、が2005年12月28日 11:50に書いたブログ記事です。

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