会社更生法申請!

| コメント(0) | トラックバック(0)

株)シードフードサービスは、O家さんの物件の中の1部屋を、社宅として契約している大手外食チェーンです。O家さんの家からは歩いて10分ほどの幹線沿いに炉端焼きの店舗があり、よくはやっていました。
 O家さんも近所のことですから、ちょっとお客さんのあったときなど、よく利用していたのです。あるとき、なぜか家賃支払がない月がありました。
O家さんに対する窓口は、近所の店の支店長になっていますから、すぐに
「どうしたの? 今月入ってないんだけれども」
と、督促の電話をいれました。
店長自身もその部屋に住んでおり、毎月水道代を払っています。
「えっ? そうなんですか? すぐに総務に言っておきます」
店長も意外な顔をして、そう答えました。
ところが、なかなか支払がありません。
翌月の家賃も入らないまま。店長が水道代を振り込むだけで、肝心のモノが入金されないのです。
「どうなっているの?」
O家さんに聞かれても、店長だってわけがわかりません。彼が統括しているのは、この支店だけですから、他の部署のことはさっぱりな様子です。それでも平謝りで
「申し訳ありません。総務にきつく言っておきます」
と、頭を下げました。
その次の月から家賃の支払は再開しました。とはいっても、きちんきちんと1ヶ月づつの振込ですから、O家さんは滞納があった分から順に充当していきます。
だからいつまでたっても「滞納2ヶ月」なままなのですが、そこは大手チェーンですから、O家さんは安心しておりました。
夜逃げすることもないだろうし、敷金を3ヶ月預かっておりますから、退去時にはちゃんと回収できます。そして1年が過ぎようとしたある日。
O家さんは新聞を読んでいて目を丸くしました。「(株)シードフードサービス 会社更生法申請」
経済面の小さな記事ですが、何回読んでもしっかり載っております。
O家さんは店長に電話しましたが、彼自身も寝耳に水の様子で、わかりません、と繰り返すばかりです。
それで直接本社にかけてみましたが、同じ思いの人がたくさんいるらしく、さっぱり電話は通じませんでした。
それでも数日後に今月の家賃が振り込まれたので、O家さんはしばらく様子を見ることにしました。
家賃が入れば、まあ、まあ……。ほどなく管財人から債権者集会の連絡が来ましたが、O家さんは所用があって欠席しました。O家さんの債権は小口ですし、敷金で十分まかなえます。もっと大口の債権者は山ほどいるはずですから、行っても仕方ない、と思ったのです。
債権調査の紙に、現在の滞納額と預かっている敷金を記載し、返送しました。
次の管財人からの連絡は、債権者集会の結果、「100万円以下の小口債権には、一律10000円ずつ支払うから債権放棄してほしい」というものでした。大口債券者に比べて、配当率はかなり高いものである、ということが付記されていました。
O家さんは債権放棄を見送りました。
この頃には店長は転居し、他の店員が住んでいたようですが、水道代が支払われなくなっていました。店長に督促はするのですが、会社更生法の申請以来、社宅に関することは全く知らされなくなり、また勝手な支払はできなくなった、とのことです。
「伝えておきます」
と、申し訳なさそうに店長は言いました。
契約上は会社が水道代も支払うことになっています。請求を会社に出すのですが、特に反応はありませんでした。
家賃は毎月入りますが、水道代は未払いが続いているので、O家さんは自分の債権が確定できずにいました。配当率に文句はなかったのですが、このためどうしていいかわからず、管財人室に事情を話すと、「とりあえずそのままにしておいて下さい」とのことだったのです。
その後も(株)シードフードサービスからの家賃支払は滞ることなく続き、ある日。
解約届けが届きました。6月末で退去です。
そしてほぼ同時に前と同じような債権放棄のお願いが届きました。こちらの〆切は6月20日です。
O家さんはまた管財人室に電話しました。
「債権放棄には異存ないんですけど、6月末退去ということなんで、6月20日では書類に書く債権額はどうしたらいいですか??」
「ああ、それなら、もう手続きは結構です。普通に退去清算してください」ということで通常の退去清算手続きをしました。
部屋の立会いには店長がやってきました。
社宅利用の例にもれず、かなり部屋がいたんでいます。男性ばかりですから、台所はきれいですが、部屋にはタバコのコゲ跡やら、カビやら。換気口のキャップも紛失。クロスもボロボロでした。
滞納分を合わせると、敷金では間に合わず、数万円の追加請求が発生しました。
ところが。
いつまでたっても支払がありません。
O家さんは管財人室に電話で
「あのう、社宅の退去清算がまだなんですが」
「はい、少しお待ち下さい。調べますね」
「はい」
「平成○年3-4月の家賃が滞納だったんですね」
「はい。でもお支払があった順に充当していますから、未払いは今年の5-6月分になります」
「そうすると、会社更生法申請の時点で、2ヶ月分の滞納があったわけですが、この分は更正債権になりますので、弊社はお支払しておりません」
「はい? と、いいますと?」
「お支払してないのは平成○年3-4月の家賃です。その後平成○年5月分からのをずっとお支払していることになります。未払い分の家賃は、お支払できないことになります」
「……前に詰めずに、空白期間ができるわけですか」
「そうです」
そうすると、2か月分の債権は放棄、その余を清算。逆にO家さんは数千円を返金する必要が出てきます。
O家さんはどうも釈然としないまま、首をひねりひねり。狐につままれた気分です。
さっぱりわけがわからないので、しばらく置いといて様子を見ることにしました。その後、多忙にまぎれてすっかりこのことを忘れていたO家ですが、
管財人室の人が言った更正債権の意味もわかるようになりました。
また、更正会社に債権・債務の双方があるときは、債権届出期間内であれば、内容証明で更正管財人に通知すれば相殺できる、ということも知りました。
でもなんだかやっぱりわからないことの多い1件でした。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.o-yasan.jp/mt/mt-tb.cgi/190

コメントする

管理人

ヨメに来たら賃貸住宅のお世話がくっついてきた! 大家の立場で賃貸裏話を発信中!

Photo

  • 2011 04 30_0016.JPG
  • xy3qi.jpg
  • 80tqm.jpg
  • 67806296.jpg
  • ua1wv.jpg
  • driwf.jpg
  • 2010 10 10_9697.jpg
  • _S8O0642.jpg
  • 2010 10 10_9694.jpg
  • _S8O0096.jpg

このブログ記事について

このページは、が2004年4月15日 00:13に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「大阪簡裁平成15年10月16日判決」です。

次のブログ記事は「心配ごと…」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。