地方慣習の問題点

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第8話で敷金問題のグチをとうとうと述べましたが、あれだけでは明らかに片手落ちです。
と、いうわけで地方慣習の問題点。

 賃貸住宅にはさまざまな慣習があります。そしてその地方差は非常に大きいのです。私の知っているところでは

① 関東方式:一般的と「思われている」様式。敷金・礼金制で、敷金は賃借人の負債を担保する性質を持つ。礼金は権利金の名残と思われ、減少傾向。国土交通省ガイドラインはこの方式がベース。契約更新に際し、更新料がある場合も。
敷金・礼金ともに「家賃の○ヶ月分」と表示される。

② 関西方式:京都・滋賀以外の近畿地方の方式。保証金(敷金)及び解約引き(敷引き)が特徴。解約時は敷引き金による定額清算。ただし、故意重過失による損耗(壁に穴を開けた・風呂を空焚きした等)は賃借人は損害賠償せねばならない。日常損耗は敷引き金でカバーされる。礼金はない。各金額は「○ヶ月分」でなく、「○○円」と金額で表示される。九州地区にも敷引き制があるらしいが、未確認。

③ 京滋方式:敷金・礼金制。関東方式との最大の違いは、京滋の「敷金」は実質的に「敷引き金」であること。ただし、関西方式は改装費用が敷引き金より安くても返金しないが、京滋は返金する。さらに更新料もあるので、非常に賃貸人有利の慣習であった。「敷金」の名称が実質と異なるため、混乱がおこっている。各金額は「○ヶ月分」でなく、「○○円」と金額で表示されるが、更新料だけは「○ヶ月分」の表示である。

④ 東海方式:京滋方式とほぼ同じ。ただし更新料はない。全額解約引きの関西方式という理解も可能。

があります。(他地区の慣習ご存知の方、掲示板かメールにてお教えください)
これだけ差がありますと、他地方から来た入居希望者は非常にとまどうはめになります。まさしく自分の常識が他人の非常識。しかもそれが理非善悪でないのだから厄介です。そしてわれわれ貸す側も慣習について十分説明してきたとは言いがたい。慣習にあぐらをかいてきたのが実情です。


一応、契約書は各慣習をもりこんだものとなっていますが、それが法的にどう位置付けられるかは難しい問題があります。慣習と各法(借地借家法・消費者契約法等)との優先順位については、今のところ個別の事情を勘案して判断されます。ガイドラインや行政指導もあり、「相場」はできつつありますが、法との優先順位に関する確たる基準はは未だ百家争鳴の状態。

これが最大の問題点です。管理業者や一部の大家は独自の契約書を作成し、法的にも慣習が認められるような工夫をしていますが、それがどこまで有効かは、実は裁判になり、判決が下されるまででわかりません。実は「和解」では灰色のままなのです。しかしながら、判決になるまで争うのは賃貸人・賃借人ともにコストパフォーマンスが合わないため、現実には和解することがほとんどです。かくして灰色は灰色のまま。
地方慣習を重視した運用は常にトラブルをはらんでいるといえましょう。(かといって軽視すると経営が難しいんですが)


慣習に関する説明は簡単ですが、有効性まで含めて入居希望者に説明するのは非常に難しく、今後の課題です。


ひどい大家になると、契約書は市販のものを特約もつけずにそのまま使用し、運用は慣習ということもあります。さすがにここまでいいかげんになると、「慣習だから」は通りません。


大家も仲介業者の使う契約書にそのまま判を押すことがままありますが、互いに契約書ははっきりと確認すべきです。

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このページは、が2003年7月15日 23:23に書いたブログ記事です。

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